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2014.03.01 (土)

「 ケネディ駐日米大使はNHK取材を拒否していなかった! 」

『週刊ダイヤモンド』 2014年3月1日号

新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 1024

キャロライン・ケネディ駐日米大使がNHKのインタビュー取材を断ったというニュースを、2月17日、共同通信が配信した。詳細は後述するが、同件に関して、ケネディ大使自身が明確に否定していたことが、信頼すべき関係者への取材で判明した。

NHKを断ったのかとの問いに対し、ケネディ大使は「そのようなことはない。自分は読売新聞と朝日新聞の取材にすでに応じている。次はテレビであり、それは『クローズアップ現代』だと考えている。断ったということはない」と明確に語ったというのだ。

つまり、共同電は事実ではないということだ。共同は「複数の関係者の話でわかった」としているが、いったい誰なのか。米大使館側が断ったとされる理由も共同は伝えているが、その内容からおぼろげながら、偽りの情報を流した理由や動機、情報源についても推測できるというものだ。

共同電はざっと以下の通りである。昨年11月15日のケネディ大使着任直後にNHKはインタビューを申し込み、米大使館側は「クローズアップ現代」での放送を要請した。つまり前向きだったのであり、この点は私の取材でも確認された。しかし、ベストセラー作家でNHKの経営委員の1人、百田尚樹氏が都知事選挙で田母神俊雄氏を応援した際、米軍による東京大空襲や原爆投下を「大虐殺」とし、「東京裁判はそれをごまかすための裁判だった」と述べた。この百田発言故に米大使館側がNHKの取材に難色を示したというのが共同の報道だ。

確かに米大使館は2月8日、百田発言を「非常識だ」と批判したが、共同は、「NHKの最高意思決定機関である経営委員会委員の発言の影響が、報道の現場に及んでいることが明らかになったのは初めて」と、解説した。

百田発言故に、米国大使が前向きだった取材に応じなくなった、というわけだ。これは、百田発言が日米関係に負の影響を与えているとの指摘に等しく、そのような不適切な発言をする人物が「NHKの最高意思決定機関である経営委員会委員」であってよいのかという批判につながる。ここまでくれば、偽りの情報を流した人々が真のターゲットと捉えているのは、安倍晋三首相のNHK改革に懸ける思いであり、NHK改革の試みをつぶすことではないかとの推測が成り立つのである。

NHKの報道に関しては見過ごすことのできない偏向と、許してはならない捏造が少なからずある。私自身、複数回、NHKの報道の問題点を指摘してきたが、その思いは少なからぬ人々によって共有されていると思う。

安倍首相はかつてNHKとのあつれきを体験した。それだけにNHKに公正な報道を望む気持ちは強いのではないか。ただしこれはあくまでも私の推測にすぎないことを断っておきたい。

経営委員に選ばれた百田氏は当然、そのような安倍首相の考えを理解し、共感しているとみられているわけで、百田氏への批判は首相への批判と重なると考えてよいだろう。NHKには、あの「JAPANデビュー」に見られたような信じ難い歴史の捏造を行い、公共の電波に乗せて日本をおとしめる人々が現に存在するのである。そのような人々にとって、NHK改革を目指しているとみられる百田氏らの排除は、願ってもないことであろう。

作家である百田氏の言動を規制するのは名分が立ちにくい。しかし、氏の発言が日米関係まで傷つけているとなれば、百田氏に責任を取らせて経営委員を辞任させることも不可能ではないかもしれない。それを突破口として、安倍首相のNHKへの対応を強く牽制することができるかもしれない。

このように考えると、案外、偽りの情報の情報源はNHK内部にあるのではないかと思ったりもする。皆さんはどう思われるだろうか。

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